インタビュー

Interview

誰にも邪魔されない自分だけの焚き火を。

「木を燃料にするこれらのストーブは、ネイチャーストーブとかソロストーブとかいろいろ呼び名がありますが、ぼくはウッドストーブと呼んでいます。ガスを使うガスストーブ、ガソリンを使うガソリンストーブ、木を使うウッドストーブ。ガスやガソリンと同じように燃料となる木材は家から持参するスタイルです。やはり乾燥した木材の方が火つきがいいし、よく燃えるので。もちろん現地で枝を拾うこともありますが、そのときは持参した乾いた薪の間に挟むようにくべます。

 6種類のウッドストーブを持っていますが、エンバーリットほどコンパクトで、燃焼効率に長けたモデルはありませんね。燃焼効率はよすぎてもよくない。効率的に調理や暖をとれる、ほどよい燃焼効率が理想ですが、エンバーリットがまさにそう。そして薪をタテからヨコから入れて、火を扱う楽しさがあります。誰にも邪魔されない自分だけの焚き火です。

 細かいフォルムでいうと、本体の絶妙な高さがいいです。手のひらをグーにして折った薪が安全にくべられて、安定して燃える。これより高くても、低くてもダメ。ホントに絶妙な高さ。本体を5枚に解体して、バックパックの背面や雨蓋へすっと忍び込ませられるコンパクトさも秀逸ですね。エンバーリッドのこのカタチは、長い間モデルチェンジしていませんが、これが完成系なのだと思います。

 キャンプはもちろん、人が少ない低山ハイキングでもよく持っていきますよ。お湯を沸かして、フリーズドライを作ったり、コーヒーを淹れたり。1回で燃焼させる時間はものの10分、20分。よく燃えるからずっと見ていないといけません。世話がやける。だからおもしろいんです。燃焼効率がいいから灰がほとんど残らないのもエンバーリットのいいところ。わずかに残った灰は、アルミホイルに包んで持ち帰ります。

 ナイフを使えるってこともウッドストーブの魅力を引き立たせる要素ですね。ナイフで焚き付けとなる木屑やササクレを削っている瞬間は、なんともシアワセな時間です。

 あとエンバーリットは、ガスストーブやアルコールストーブの風防、ゴトクにもなるんですよ。キャンプでは、その優れた煙突効果で炭に火をつけるチャコールスターターに変身します。工夫次第で頼もしいギアになるんです。

 火を扱う楽しさは小学校のころから知っていました。生まれは北九州なんですが、河川敷に地域共有のファイヤーピットがあって姉とふたりで読み終わった少年ジャンプを燃やしていました。燃やしきることに情熱をかける少年(笑)。40年近く経ったいまもやっていることは、その頃と変わっていないのでしょうね。」

エンバーリットにはナイフと革グローブがセット。
暖をとったり調理をしたり。頼りになる重量106gのチタン製。

森 勝(もり・まさる)

低山小道具研究家。おもに高尾や奥多摩の山々を歩き、ハイキングと愛称がいいギアを自らの視点で考察し、ウェブや雑誌で発表している。とくにナイフ、ウッドストーブ、ハンモックなどの分野に精通。フィールドでは地図読みにも長け、地図読みのイベントをプロデュースしている。

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