MSR|PARAGON BINDING REVIEW from TOMOKI FUSE

『万能で安心して使えるライトニングアッセントの完成形』

白馬ではどのようなロケーションでスノーシューを使用していましたか?

八方尾根や遠見尾根など急峻でタイトな場所はスノーシューが有利です。シーズン中は週に1~2回ほど使用していました。尾根地形は雪があまり積もらずカチカチなことが多いので、MSRスノーシューが強いんです。スプリットに比べてモードチェンジも早く、何度も登り返しをするような撮影でも使っていました。もちろんハイシーズンのディープパウダーでも使ったし、アイゼンを必要とする稜線までもスノーシューで歩きました。

ずばり、使用感の部分でこれまでのバインディングとの違いは?

圧倒的に脱ぎ履きが早くなったこと。ストラップ自体の素材感が少し柔らかくしなやかで、クセがつきにくくなったなど、誰でも簡単にわかりやすく装着できるようにアップデートされていると思います。あとは、ブーツソールとの接触面にしっかりとしたプレートが入って靴の形に沿った形状になっていることや、ブーツがズレにくい様に凹凸が増えたことで、簡素化されたメッシュストラップでも高いホールド性を可能にしてるんだなと感じました。そのため、これまでのモデルと変わらず、固い雪でもしっかりグリップするし、トラバースでも抜群の性能を発揮してくれます。

山の上で使用する際、脱ぎ履きの早さは利点になりましたか?

かなり利点になっています。フロントストラップも自分のブーツにあった穴の位置に固定してしまえば、あとはカカトのストラップを締めるだけなので、サンダル感覚で履けます。風が強くて早く動きたい時や、フラットのない急斜面などでの履き替えはスムースにおこなえました。

結果的にパラゴン・バインディングはどうですか?

これから新しいスノーシューを購入する、または買い換えたいという人にはオススメです。ぶっちゃけ今までの3本ストラップでも問題なかったけど、よりシンプルで効率的に進化した結果が今回のリニューアルだと思います。MSR製品のコンセプトって「シンプル」「丈夫」「直しやすい」だと聞いているけど、山奥などの僻地で使う道具にはとても重要な要素。今まであったいくつものトラブルを考慮したうえで完成された製品だと思うんで、1シーズン白馬を中心に使用し続けてきたけど、大きなトラブルはなかったし、万能で安心して使えました。そういう意味では、このパラゴン・バイディングはライトニングアッセントの完成形と言っても過言ではないと思います。

ガイド

布施 智基 (TOMOKI FUSE)

東京で生まれ、学生時代をアメリカの雪山で過ごした彼は帰国後に就職。しかし雪を忘れられず、世界の山と肩を並べる白馬へ移り住んだ。現在は一流のガイドとしてThe North FaceやMSRなど数多くのブランドと契約を結び、白馬では誰よりも雪山へ入っている滑り手としても一目置かれている存在。Snowsruf Hakuba代表であり、バックカントリーガイドを担当している。